取材日は「新人コース」の日でした。ベテランの
メンバーが講師となって、新人の皆さんに教えま
す。和気あいあいとした雰囲気ですが、いざ講習
が始まると真剣な目に。
まずは「水回し」。“の”の字を書くようにして、
水を粉全体にかけていきます。
「水回し」は時間とのたたかい。優しく、手早く…。
水をほどよく含んでくると、おからのようになって
きます。
木鉢の曲面を使い練り込んでいくと、だんだんコ
シが生まれ生地らしくなってきます。ベテラン組
の方はさすがに慣れており「すでにプロレベルで
は?」と思わせるほど手際がいいです。
めん棒の持ち方、力加減にはコツが必要。一朝一
夕で体得できるものではなく、地道に練習を重ね
るほかありません。けど、これがスムーズにでき
るようになったら楽しいでしょうね。
包丁の位置は顔の真下に。斜め前に押し出すよう
に切るのがポイントだそうです。
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 豊後手打ちそば倶楽部会長 安東善光さん
−− 「豊後手打ちそば倶楽部」を発足さ
れたいきさつは?
安東 大分市が開催していた手打ちそば教
室がきっかけです。受講生は60名
ぐらいいたかな。その教室が、平成
16年に終わってしまいましてね。
「せっかく習ったんだから、やめて
しまうのはもったいない」というこ
とで、卒業生で集まり同好会を作っ
たんです。
−− 会員は現在、何名いらっしゃるんで
しょう。
安東 55名です。そのうちの約半分は同
好会結成後に加入した人です。活動
は大分市コンパルホールの調理室で
やっています。当初は月1回のペー
スでしたが人数が増えたので今は月
2回。新人コースとベテランコース
にわけてやっています。
−− そば打ちって見るからに難しそうで
すよね。麺を棒で伸ばしたりとか。
安東 そうですね。どの工程にも技術が必
要とされますが、いちばん重要なの
は実は「水回し」と言われているん
ですよ。
−− 「水回し」…というと、そば粉と水
を混ぜ合わせる作業ですか。
安東 はい。手早く均等に混ぜないといけ
ないのですが、これが簡単そうに見
えて意外と難しい。初心者はまずこ
こで失敗しがちです。水の量が多す
ぎたり、馴染み加減が均等でなかっ
たり。
−− 地味な作業ですが、そば打ちのキモ
となる工程だったんですね。
安東 加える水量は通常、そば粉の50%
とされていますが、その日の天候
(湿度)とかで違ってくるんですよ。
45%がちょうどいい時もあれば、
55%ぐらい加えないとだめな時も
あります。混ざり具合を確かめなが
らやるしかありません。
−− そのへんはもう、何度もやって体で
覚えるしかない、と。
安東 そうです。そもそも最初からうまく
いくわけないんでね。何度も練習を
繰り返すことで身に付いていくもの
です。
−− 奥が深そうですね。
安東 深いですねぇ。同じそば粉を使って
も、打ち方ひとつで味が違ってくる
んですよ。やればやるほどハマッて
いきますね。
−− ご自分で打ったそばの味というのは
やはり格別ですか。
安東 はい。みんな「自分で打ったそばを
食べたら、よそのはもう食べられな
い!」とか言ってますよ(笑)。私もね、
家でそばを作って家族に食べさせる
のですが、孫もおいしいと言ってく
れます。自分が作ったもので人に喜
ばれるというのは、ほんとにうれし
いものです。
−− いいですね、そういうのって。
そば粉などの材料はどうやって調達
されてるのでしょう。
安東 そば粉は「そば打ち教室」の講師だ
った『天地庵』さんから特別に分け
ていただいてます。やはりそばは、
挽き立て・打ち立てのものがいちば
んですよ。
−− なるほど。
安東 たまにメンバーでそばの食べ歩きを
することもあります。そば打ちをや
ってるおかげで、それぞれのお店の
味の個性や違いがわかるようになり
ました。
これからも、そばでできた“仲間の
輪”を大切にし、みんなで楽しくや
っていきたいですね。
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