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ペインクリニック

ペインクリニックとは、その名の通り、
痛み(ペイン)をやわらげる医療のこと。

一般的には耳慣れない治療かもしれませんが、
すでに40年以上の歴史があります。

1962年、東京大学病院にペインクリニック科が
設立されたのが本格的な始まりで、今では
各大学病院の麻酔科には、
必ずと言っていいほどペインクリニックがあります。

おもに「神経ブロック療法」などがあり、
慢性的な痛みに苦しんでいる人にとって、
まさに一筋の光明とも言うべき治療。

その内容について、別府でペインクリニックを
実践されている伊東浩司先生にお話を伺いました。

                 [取材:ゲン]


伊東浩司さん
(いとう循環器・麻酔科クリニック院長)
別府市出身。大分大学医学部(元大分医科大学)卒業。平成19年、別府で初めてのペインクリニックを開業。ペインクリニック以外にも最先端技術の疼痛治療を組み合わせることで、独自の効果の高い治療を行っている。
◎日本救急医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本ペインクリニック学会専門医、日本遠絡医学会専門医
【いとう循環器・麻酔科クリニック】
 別府市石垣町西7-2147-1  
 TEL.0977(24)1002





痛みをやわらげ 生活の質を改善する医療[ペインクリニック]

−− ペインクリニックはなぜ麻酔科で行われているのでしょうか。
   麻酔科医って馴染みがなくて“手術の時に登場する先生”ぐらいの
   イメージしかないんですが。

伊東 麻酔科医が手術の際に求められるのは、
   血圧・脈などの全身管理と痛みのコントロールです。
   痛みの感じ方には個人差があり、
   それぞれの痛みに対し適切に対処しています。
   つまり麻酔科には、痛みに関する幅広い知識、
   そしてそれを解決する技術があるんですね。
   だから麻酔科でペインクリニックという治療が発達したわけです。

−− なるほど。
   ではペインクリニックの意義についてお伺いしたいのですが。
   たとえばお腹が痛ければ内科へ行くし、
   外傷を負えば外科へ行くじゃないですか。
   そう考えると、どういうケースで
   ペインクリニックを利用するのかなぁ、と。

伊東 そうですね。ペインクリニックを理解していただくためには、
   まず「痛みとはそもそも何か」ということから
   お話した方がいいでしょう。

−− はい、お願いします。

伊東 痛みとは、身体に異常が起こっていることを脳に伝える信号です。
   もしこの信号が送られないと、病気やケガに気づかず
   どんどん悪化してしまいます。

−− はい、わかります。
   痛いのは誰だってイヤだけど、それは必要な痛みですよね。

伊東 そうです。それとは別に不要な痛みというのもあります。
   たとえば帯状疱疹(ヘルペス)。
   この病気は治っても痛みだけが残るケースがあるんです。

−− うーん、それはツライですね。

伊東 ええ。痛みというのは、とても主観的なものなんですよ。
   検査してみてどこも悪い所はないと診断された場合
   「気のせい」などと片付けられてしまうこともあります。
   ですがご本人が痛みを感じているのであれば、
   その痛みを緩和する方向で診療していく。
   それがペインクリニックなんですね。

−− 原因がよくわからない頭痛に悩まされている人とか、
   けっこういますもんね。
   あっ、今、戦争映画のあるシーンを思い出しました。
   兵士が、戦闘で失った足が痛むと訴える場面。
   切断されて無い部位が痛むという。
   あれこそ「気のせい」で片付けられてしまいそうな…

伊東 それはファントムペイン(幻肢痛)と呼ばれています。
   脳の中では「その足はまだある」と認識されているために
   起こる痛みです。足から脳へ行く神経の経路…そのどこでが
   痛みのもとを断ち切る必要があるでしょう。

−− “喉元過ぎれば熱さ忘れる”じゃないですけど、
   痛みさえ消えてくれれば、とりあえず気持ちは
   全然ラクになりますものね。

伊東 そうです。10の痛みが5や3に下がるだけでも、
   その人の生活の質は確実に向上します。


痛みの悪循環を断ち切る「神経ブロック」 とは

−− ペインクリニックの意義というのは、よくわかりました。
   では、どのようにして痛みを取り除くのでしょうか。

伊東 まず、痛みの原因を突き止めることから始まります。
   ここがとても大事です。

−− はい。

伊東 たとえば「膝が痛い」といっても、膝自体にトラブルがあるとは
   限りません。腰から来る膝の痛みというのもありますから。
   そこを見誤ると安全・確実な治療はできません。
   特に初診の患者さんはけっこう時間がかかりますね。

−− 診察は慎重に行われるわけですね。
   ではペインクリニックの代表的な治療には、
   どのようなものがありますか。

伊東 そうですね。
   様々な治療がありますが、ペインクリニックの治療として
   よく知られているのは「神経ブロック」です。
   “痛みの悪循環”を断ち切ることで改善していく方法です。

−− 痛みの悪循環? なんですか、それは。

伊東 痛みが起こるとですね、その影響で血流が悪くなります。
   そうすると十分な酸素や栄養素が運び込まれなくなり、
   組織の修復が遅れるわけです。
   また痛みの原因物質がさらに発生するなど、
   痛みが増幅していきます。

−− なんか“痛みの借金”がどんどんふくらんでいくようで怖いですね。

伊東 ええ。神経ブロックとは、この痛みの通路となっている
   神経の炎症を抑え、痛みの悪循環をブロック(遮断)する治療法なんです。
   神経の炎症が消えることで血流が改善し、痛みも軽減され、
   体は治癒する方向へむかっていきます。

   

−− 先生、その麻酔が切れたらどうなるんでしょう。
   また痛みが再燃するのでは?

伊東 それは大丈夫です。薬の効果(麻酔)は短時間で切れますが、
   悪循環を断ち切ったことにより、痛みは長期間抑えられます。
   また治療を続けることにより、痛みが抑えられる期間も
   だんだん長くなっていきます。

−− 麻酔薬の習慣性、というのは大丈夫なんでしょうか。

伊東 神経ブロックに使われる局所麻酔薬に習慣性はありません。
   ですから依存症を引き起こすことはありません。
   また麻酔科医は“注射のプロ”でもありますので、
   必要な箇所に的確に打つことができます。
   ピンポイントの注射により、薬も最小限に抑えることでき、
   体への負担も少なくて済みます。

−− なるほど〜。神経ブロックってすごいですね。
   魔法みたいに思えてきました。

伊東 いえいえ、神経ブロックは決して万能じゃないですよ。
   あくまで治療法のひとつであって、
   ペインクリニック=神経ブロックではありません。
   とにかく、まずしっかりとしたカウンセリングが重要なんです。
   そして生活習慣の見直しなど軽い部分から入っていき、流れの中で
   神経ブロックが必要と判断すれば、その治療法を提案するわけです。

−− そうでしたか。失礼しました。先生、今日はいろいろと
   詳しく教えてくださりありがとうございました。

伊東 いえ、こちらこそ。
   全国的に見てまだペインクリニックの専門医は少ないですが、
   痛みで悩んでいる方はぜひ一度相談してみてください。
   一人でも多くの方が痛みから開放され、
   生活の質が向上する喜びを感じてほしいですね。


   大分県でペインクリニックをやっている医療機関 一覧(pdf)
   


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