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■私の好きな作家(3):平岩弓枝
時代小説なるものは、男性の専門領域であり、聖域である。
平岩弓枝さんの小説を読むまでは、愚かにもそう思い込んでいた。
女性がそれこそ切った張ったの世界や侍の生き様を表現するのは、
どだい無理な話と勝手に決め付けていた。
今になってみれば、そんな自分が本当に恥ずかしい。
とにかく平岩弓枝さんの時代小説に最初に出会ったのが、
もう何年前かは忘れたけれど、
オール読物での「御宿かわせみ」であったことだけは覚えている。
それ以来、平岩弓枝さんの魔の手?にわしづかみにされ、
このシリーズを文庫本にてまとめ買いし、全てを読みきった。
そして次にトライしたのが「はやぶさ新八郎」シリーズ。
御用帳はすべて。御用旅の東海道五十三次は読んでいる。
しかし、あくまでも文庫本に限定されているわけで、
自慢じゃないが、単行本では一冊も読んでいない。
ネット上で、発見。さっそく購入します!
「御宿かわせみ」東京下町散歩
東京かわせみの会編集 平岩弓枝協力
価格1400円(税込)
魅力的な人の周囲には、魅力的な人たちが自然と集まる・・・。
主人公の庄司るいと神林東吾の二人を見ていると、
素直にそう思えてくるから不思議である。
説明するまでもなく、「御宿かわせみ」とは、
江戸の大川端(現在の隅田川)のほとりに建つ
小じんまりとした旅籠(旅館)の名前である。
この旅籠を中心に、江戸の町に次々と事件が起こる。
そして旅籠の女主人るいと幼なじみ東吾の恋物語が彩りを添え、
江戸の町に生きる人々が鮮やかに逞しく描かれている。
中でも私が一番好きなのが東吾の兄、神林通之進その人。
東吾は長身の男っぽい風貌であるが、それに反して
兄の通之進は水も滴るような美男子である。
テレビでこの役を演じた草刈正雄はまさに適役でした。
東吾と通之進は、幼くして母を亡くした薄幸の兄弟であるだけに
二人の絆は固く、吟味方与力を勤める兄の弟に対する
細やかな愛情と心配りには、いつも胸を熱くさせられてしまう。
また東吾をからかって楽しむユーモアセンスも
ほのぼのとした中にも洗練されていて心地よい。
明治期に入った新作も単行本で出たそうだが、
時代小説としての「御宿かわせみ」ファンの私としては
ちょっと淋しい気がしないでもない。
江戸末期までの「御宿かわせみ」シリーズを全て読み終わり、
「さあこれからどうしたものか・・・」と思い悩んでいた時に、
書店にてこのシリーズ発見!小躍りして買い求めたのが
つい昨日の様に思い出される。
このシリーズは「御用帳」「御用旅」
二つのジャンルに分かれている。
「御用旅」では江戸市中だけでなく、東海道や中仙道の
宿場町や京都までも物語の舞台となっている。とはいっても
私は御用旅(1)の東海道五十三次しか読んでいないが。
また主人公隼新八郎は、南町奉行根岸肥前守(実在の人)の
家臣で内与力(信頼の厚い私設与力)である。
平岩弓枝先生には誠に申し訳ないが、
知らず知らずのうちに「御宿かわせみ」のストーリーや
キャスティングとオーバーラップしてしまう。
そうなるとどうしても「御宿かわせみ」のほうが
魅力的に思えるのは私だけだろうか。
さらに気になって仕方ないのが、
新八郎、お鯉、郁江の三角関係である。
現在のところ小康状態ではあるが
白黒つけたがる私の性格上、
このままでは非常に中途半端で困るのである。
しかし平岩ファンを自認する私としては、
これからも続編が文庫本になった時点で
必ず買い求めたいと思っている。
またシリーズものではないが、
「水鳥の関」はとても楽しめた作品のひとつ。
一人の女として母として、ひたむきに生きるヒロインお美也。
その姿に「男である自分には、
とてもこんな逞しさや生命力はないな」という
畏敬にも似た感動を覚えずにはいられませんでした。
平岩弓枝さま、これからもますますお元気で
我々ファンを心ゆくまで楽しませてください。
時代小説特集は、今回をもって一応終了させていただきます。
また活字人間のどこが悪い!は、新企画で再登場する
予定ですので、ちょっとだけご期待ください。
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